飲食店開業に失敗しないために。 ― その2/卵が先か鶏が先か ―

こんにちは。西谷です。
今週はバレンタインウィーク!あまり関係ないですが(苦笑)頑張って参りましょう。

先週のコラムで、 “飲食店開業に失敗しなにために” は開業前の「スケジュール」の順番が重要であることを述べました。ですから、これをお読みになった方は真っ先に不動産屋に行くなど有り得ないことだとお解りいただけたと思います。もう大丈夫ですね!

では、繁盛店を開業するためにはいったいどんな準備から着手すれば良いのでしょう?

経験があったり少し勉強されている方なら、それは「コンセプト」でしょ!とお答えになると思います。
もちろんその答えは一応正解。
肝心なのはその「コンセプト」が何を根拠に考えられたものであるか!ということです。

貴方が(フランチャイズでの独立などで)既製品を仕入れてそのまま販売しようというのなら、「コンセプト」は、そのそれぞれの商品が持つコンセプトをどうセレクトしコーディネイトするかということに負います。食料品店やドラッグストア、洋服屋さん、雑貨屋などはその例で、何百何千という商品の寄せ集めであるわけですね。
しかし、飲食店を開業しようとしているほとんどの方は事前に誰かが作った完成品を仕入れてきてそれで商売をしようとしているのではなく、全て貴方の発想と経験そして技術であなただけのオリジナル商品を一から作って売ろうとしています。例えお酒であっても、瓶ごとハイって持って帰ってもらうのではなく、お客様がご来店になる前から適正な温度帯で管理し、あくまでも店内で器に注いで料理と一緒に楽しんでもらうことが前提であるため、最終的にそのかたちは既製品ではなくなってしまいます。だから、貴方がこれから生み出し売ろうとしている商品の「コンセプト」は貴方が創らならいとだめなのです。

さて、ここから先、解りやすくするためにクルマを例に挙げ、「コンセプト」を含めた繁盛店開業計画の着手の仕方について少しお話しましょう。

一番身近なところで、誰でもイメージしやすいのはTOYOTAの『プリウス』でしょう。

飲食店開業に失敗しないために。 ― その2/卵が先か鶏が先か ― 『プリウス』のデビュー時のコンセプトは、「人と地球にとって快適であること」。
初代モデルは「21世紀に間に合いました。」(考案:岩崎俊一氏)というキャッチコピーで、世界初となる量産ハイブリッド自動車として1997年12月に誕生しています。もうそんなに前のことなんですね。

私たちの世界からするとちょっぴり大そうなコンセプトですが、世界のTOYOTAだからこそ掲げられる意味のある言葉ですね。もちろん無闇に発想したものなどではないことは容易に想像できます。

どんなものでも商品である以上、「コンセプト」は購入層であるターゲットをきちんと意識した(裏付ける)ものでなくてはなりません。
『プリウス』の場合、「アクティブスマート層」といわれる客層をターゲットとしています。
「アクティブスマート層」というのは、<年齢でいうと30~40歳。ものの考え方・発想・志向等がどちらかというと新しいモノ好きで、様々な場面で自分なりの尺度なりこだわりを持って生活するスタイル、また、トレンディ・情報通・個性的といった要素をお持ちのお客様層> のことを指すのだそうです。
ほら、きちんとターゲットの性格や心理にコンセプトを構成する「人と地球(資源や環境への配慮)」また「快適(楽、堅苦しくない)」な「クルマ(楽しみ・移動手段・道具・居空間・テクノロジー)」に結びつく要素が入っていますよね。結びつくというのはターゲットの心理をくすぐることができることを意味します。

記事のタイトルに “卵が先か鶏が先か” と記しましたが、まさに「コンセプト」と「ターゲット」はどちらが先とも言えない、切っても切れない、表裏一体となってお店づくりの中核となるものです。

ただ、貴方はTOYOTA社のような超大手企業を始めるわけではありませんね。
そうすると先に決めるべきはターゲットということになります。

貴方は誰に料理を作ってあげるのですか?
もし家族や大好きな人のために料理を作るのであれば、あの子はこれが好きだから、あれは嫌いだから・・・、こうしてあげよう!と、どんどん料理の発想は生まれるはず。

事業にこれを置き換えてみても、自分の得意とする層、男性ビジネスマンなのか、独身女性なのか、ママたちなのか、ファミリーなのか、キッズなのか、上述のようにその層のものの考え方・発想・志向、こだわり方、生活スタイル(行動パターン)、情報源などが手に取るように理解できる層を自分のターゲットとするのが正解です。性格も年齢も地位も判らない人とはなかなかうまく親しくできないのと一緒、人間関係のようなものです。ずうっと続くのですから、苦手なお客様ばかりをターゲットにしてはうまく行くはずもありません。※これは後に決定することになる「業態」にも通じる考え方です。

開業をしようとしたときには既に「こんな感じの店」といういくらかのイメージはあると思います。それが「コンセプト」を構築する源となって行くのですが、自分のターゲットが決まってから「コンセプト」を固める(調整する)のが良いでしょう。あくまでも小規模店舗なので、大きなコンセプトを掲げそれを押し切って行く方法はおすすめしません。

まぁ、「コンセプト」「ターゲット」って難しいですね。
失敗しないためには一番重要なところなので、簡単な筈はありませんよね(笑)

それではまた次回。

著者

西谷 啓輔
西谷 啓輔
GLOBAL DIRECTION 代表
大和学園 京都調理師専門学校 非常勤講師

1962年・寅年生まれ。現在53歳。
某大手アパレル企業のマーチャンダイザー出身。
突如中堅飲食企業に転職し、企画室長を経て管理職に。数々の大型店舗の開発を経験し、貯まったノウハウとネットワークをもって、ディレクションという立場から飲食業界支援の道へ乗り出した。この道16年のキャリア。
世の若い飲食店のために、日夜熱い思いで頭も体もフル回転!

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